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カブラの冬 [軍事]

カブラの冬―第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆 (レクチャー第一次世界大戦を考える)

カブラの冬―第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆 (レクチャー第一次世界大戦を考える)

  • 作者: 藤原 辰史
  • 出版社/メーカー: 人文書院
  • 発売日: 2011/01
  • メディア: 単行本

 人文書院の「レクチャー 第一次世界大戦を考える」シリーズの一冊で、第一次世界大戦時のドイツの食料事情を書いた本です。 
 まあ悲惨以外の何物でもありませんね。 
 大戦中でのドイツ民間人の餓死者が76万2796人と記録が残っているのは、流石ドイツとは思ってしまいますが。 

 題名の「カブラの冬」というのも蕪しか食べるものがなくて、餓死者や栄養失調による病死者が続出した1916年の冬の俗称から取られています。 
 ちなみに、ここでいうカブラはちゃんとした蕪じゃなくて、主に飼料用で味も不味いルタバガのことを指します。 

 どのくらい当時のドイツにルタバガしか食べるものがなかったかと言うと、ルタバガを惜しく食べるために配布されたパンフレットにあるルタバガ料理法が 

「ルタバガスープ、ジャガイモ付きルタバガ、ルタバガ炒め、ルタバガスフレ、ルタバガプディング、ルタバガ団子炒め、ルタバガカツレツ、青キャベツとルタバガ、赤キャベツとルタバガ、白キャベツ付きルタバスフレ、ロールキャベツのルタバガ詰め、ルタバガサラダ、酢漬けルタバガ、セイヨウネギ付きルタバガ、リンゴ付きルタバガ、ルタバガの詰めもの、煮込みルタバガ団子、ルタバゴピューレ、ルタバガのジャム」 

といった感じで、本当にルタバガしか無かったんだなあ、と思えてきます。 
 1916年ぐらいになってくると、一般市民への配給食料は1日1000カロリー程度までに下がり、当然それは病気に対する抵抗力を弱め、1916年10月15日だけでベルリンで1700人がインフルエンザによって死亡したとの記録が残ってます。 

 食糧配給を行うドイツ政府側も色々と失策をして、それが更に食糧事情の悪化に繋がっていってます。 
 第二次大戦時のドイツは日本とかと比べて、食料配給体制がしっかりしていて最後までドイツ国民には餓死者は出ませんでしたが、それはドイツがしっかりしていたらじゃなくて第一次世界大戦での痛い経験をきっちり生かしたからだというのがよく分かります。 
(もちろん、ドイツ国民以外は食料を奪われて大変な餓死者が出ましたが) 

 そして、第一次世界大戦でここまで飢えの深刻な記憶があるので、ナチスの東方生存圏構想とかが支持を受けてしまった、というのがこの本の言いたいことで、私もこれは同感。 
 「飢え」の記憶というのは鮮烈な物ですからね。 

 かなり最近まで日本で米の管理体制が長いこと続いたのも、大戦での飢えの経験から「せめて米程度はきちんと食べたい」という思いが強かったからのと同様でしょう。 

 第一次大戦での他の主要参戦各国の食料事情も書かれていますが、やはりアメリカの援助受けられる連合国側は強いです。 
 連合国側なのに食料政策が無茶苦茶で国が倒れるロシアという国もありますが。 


バルジの戦い時のドイツ空軍の死闘 [軍事]


 バルジの戦い時のドイツ空軍の戦いについて説明しています。 
 副題が「名前のない戦い」であることから判るように、一般には全然知られていないバルジの戦いでの激しい戦術制空戦闘です。 
 一般的なバルジ作戦でのドイツ空軍のイメージは、 

「ドイツ空軍があてにならないから天気の悪い時に陸上攻勢かけて、天気がよくなって連合軍空軍の活動が活発になったので陸上攻勢は頓挫して、更に正月にボーデンプラッテ作戦失敗して再起不能のダメージ」 

というものですが、実際には攻勢当初に約2000機の航空戦力を揃えて連合軍に積極的な制空戦闘仕掛けていたと初めて知りました。 
 当時のドイツ空軍の状況からすると、まさに全力全開での戦闘です。 
 ただ全力全開の戦闘とはいえ、連合軍との航空戦闘では一部を除いて、一方的にドイツ空軍が敗北しているのは悲しいですね。損害も連合軍側と比べて圧倒的に多いですし。 
 大戦末期にはジェット機部隊とかを除いて、西側連合国との戦闘機同士の戦闘ではドイツ空軍が常に一方的に負けているのですが、それがよく実感できます。 

 しかし、バルジ作戦時に約2000機の戦力を揃えて、2週間の制空戦闘で約900機失って、補充として約400機を受領して、約1500機の戦力が残っているのでしたら、書かれているとおり、そりゃボーデンプラッテ作戦で最後の賭けに出たくなりますよね。 
 その時点でバルジ作戦の陸上攻勢は行き詰っていて、かつこの航空大戦力もこれまでの戦いを続けているかぎり直に消耗してしまうことが分かっており、ドイツが1500機もの航空戦力を揃えられるのは、これが最後でしょうから。 
 結局、その賭けのボーデンプラッテ作戦でドイツ空軍は壊滅してしまうわけですが。


「どこかの国」の謎の攻撃 [軍事]

軍事研究 2011年 01月号 [雑誌]

軍事研究 2011年 01月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ジャパンミリタリーレビュー
  • 発売日: 2010/12/10
  • メディア: 雑誌

 

 今月はガザ地区におけるモサドとハマスの武器密輸攻防戦についての記事が面白かったです。

 イランからガザ地区への武器密輸ルートの途中にあるスーダンでは真夜中に、「どこかの国」の軍用機により何回もトラックコンボイが爆撃されたり、海中から何者かが浮かび上がってきて何隻も漁船を沈めたり、謎の艦船のミサイル攻撃でイランの船が撃沈されたり、大変不思議なことが起こっているようです。
 まるでホラーですね(棒読み)

 あと未だにガザ地区は完全封鎖されていて、エジプトとの国境に掘られた秘密地下トンネルで物資が運ばれているのですが、地下トンネルでの密輸に業を煮やしたエジプト側は国境に

・地中深さ25メートル、幅50センチ、厚さ5センチの鉄製の壁(超硬鋼製で砲弾も弾く)

を国境10キロに渡って埋め込みました。
 これだけ頑丈な鉄壁を地中深く埋め込んでトンネルを掘るのを元から防ごうとしたのですが、パレスチナ側では溶接ランプで力技で壁を溶かして穴を空けています。
 
 ただ、これだけ苦労して封鎖を突破しているだけあって、ガザ地区内部の物価は非常に高く、ガザの外では300ドルのライフルをガザに持ち込めば2000ドルになるなんて、中の生活はどれだけ大変なのやら。

 今月の軍事研究はこの記事に限らず、他の記事も色々と面白いです。


F-15グローバル・ストライクイーグル [軍事]

 防衛技術ジャーナルの2010年12月号で知ったネタですが、F-15Eストライクイーグルを改造したF-15GSE LVに驚愕しました。
 このF-15GSE LVについては、グダグダ解説するより、構想(PDF)の4ページと5ページにあるイメージ図を見てもらった方が一発で判るでしょう。
 これが、F-15GSE(Global Strike Eagle)-LV(Launch Vehicle)の勇姿です!!

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 一度見たら忘れないインパクトがありますね。
 まさに見てのとおり、F-15Eストライクイーグルから弾道ミサイルを発射して地球規模の柔軟な攻撃を持たせる構想で、だからこそも名前も「グローバル・ストライクイーグル(GSE)」となってます。
 打ち上げ時にはF-15の高速性を生かして、高度14,000メートル、速度マッハ1.35、上昇角度約40度で背中の大型ミサイルを切り離して、地球規模の攻撃範囲を持たせる構想です。

 ミサイルは既に実用化されたペガサスロケットとミニットマンICBMのロケットモーターを組合わせて製作されているので問題は無さそうですが、問題は機体側の方でミサイル輸送時にはパイロットが乗って輸送しますが、ミサイル発射時には無人機状態で飛ばして発射するという訳の分からないシステムです。
 これなら普通に長射程ミサイル撃った方が絶対に良さそうなんで、プロジェクト潰れたんでしょうね。
 ミサイル発射時の機体離脱にも相当の問題もあったようですし。

 ただ見た目のインパクトは衝撃的なプロジェクトなことは間違いありません。


海軍メイドさん事件 ソ連版 [軍事]

日本海軍が第二次世界大戦でドイツに味方したのは、 

「日本海軍士官がドイツに駐在していた時に、ドイツのメイドさんによるハニートラップを受けたからだ!!」 

という「海軍メイドさん事件」と言われる説があります。 
 真偽は怪しいらしいですが、そのネタのインパクトからミリタリー趣味を持つ人の間ではかなり有名です。 

 で、最近別の切り口からの海軍メイドさん事件を知りました。 
米内光政は親米ではなく親ソ派だったから日独伊三国同盟に反対した 

 題名からしてトンデモ臭さ爆発ですが、内容も非常に怪しげで文章も読みにくいトンデモ本の典型的な雰囲気で、読んでいて頭が痛くなってきる文章です。 
 ただ、主張したいことは、 

「日本海軍がソ連に攻め込む北進ではなく、南進を選んだのは米内光政がソ連駐在時にハニートラップに引っかかったからだ!!」 

という内容で、つまり米内がソ連のメイドさんに引っかかったから独ソ戦の時に日本は南進しなかったというのです。 
 確かに米内は親ソ派でしたが、何と斬新な説でしょうw。 
 日本海軍はドイツ系メイドだけではなくロシア系メイドにも萌えていたので歴史が変わってしまったとは!!! 

 まあ元ネタサイトからも判るとおり極めて怪しい説ではありますが、ネタとしては面白いかと。 

軍楽隊&事務員 VS 特殊部隊 [軍事]

2ch軍事板の戦争・兵役を通じて広まった食事 26皿目スレにあった自衛隊の演習についての書き込み。

127 :名無し三等兵:2010/10/23(土) 02:15:08 ID:???
>>109
そりゃそうでしょうよ。

ところが、一昨年、青の選抜チームが敵司令部を攻撃してメタメタにするはずが、音楽隊の1尉が指揮し中即の陸曹数人がついた音楽隊と業務隊からなる警備隊に全滅してしまった。

130 :(^(エ)^):2010/10/23(土) 04:33:06 ID:NhqaAiwW
>>127-129
コックじゃないけど、関西弁の陸曹が実質的に指揮をとっていた。
金管担当の、お嬢様陸曹に武装解除されているレンジャーの写メが全国配信されたし、糞味噌に毒づいた連中はテルテル坊主にされた。モザイクが掛かっていたのは言うまでもないww


 この話の真偽は判りませんが、面白い話です。
 乱暴に要約すると、

「特殊部隊が司令部を襲撃したら、軍楽隊所属で音楽専門の大尉が率いる数人の古参下士官を除き戦闘経験皆無の軍楽隊&後方事務のおねーさん方に返り討ちにあい殲滅された」

という事態ですから。
 しかし、小説とかの創作物だったりしたら、この時指揮を取っていた軍楽隊の一尉が、戦術的才能を認められて、更にどんどん実績を上げて出世していったりするんでしょうねw

日本の核武装は亡国への道 [軍事]

 某所にて週刊オブイェクトのJSFさんとかに書けと強要されたので、ちょっと書いてみます。 

  最近、日本も核武装すべきだ!!という意見が多いですが、私に言わせれば 
「日本の核武装こそ亡国の道だ!!」 
ですね。 
 状況に応じて核武装というオプションを放棄するわけではないですが、今のまま核武装に踏み切ったら亡国というか酷い有様になります。 

 理由として日本の核武装を叫ぶ人の大部分は、「核兵器さえ持てば全て解決」という感じで具体的な運用方法考えていない感じを受けます。 
 例えるなら、 

・結婚相手を見つけたい人が「整形して顔を良くすれば何もかも全て解決」と思っている 

のと同様で、ちょっと落ち着いて考えれば判る 

・整形して美形になったからと言って、世の中の美男美女が全て恋人を見つけられているのか? 
・それだけの整形をするのに、どれだけの手間と金額がかかるのか? また顔を変えた場合、それまでの友人や仕事上の付き合いは大丈夫? 

とかの要素を無視して、ただ「整形さえすれば全てが良くなる」と思い込んでいる感じです。 
 これは実際に日本が核武装した時と同様で、 

・現在、核武装している国は、その威力で平和を保てているのか? どう見てもそうとは思えない。 
・日本が核武装するにあたってお金は掛かるし、国際的には経済関係のみならず仮想敵国の中国や北朝鮮とはまた別の数多くの国々の対日感情も確実に悪化するでしょうけど、それで良いの? 

とかの問題を完全に無視してます。 
 今の北朝鮮や昔の中華人民共和国のように失うものが少ないならば、核武装という無理して一発逆転を狙うのもありですが、世界の中でも「リア充」な部類になる日本という国家が、現在のリア充要素を沢山捨ててまで、そんなことする必要あるのか損得勘定をしてみるべきかと。
 
 正直「核武装さえすれば全てが良くなる」という考え方は彼等が忌み嫌うであろう「憲法9条さえあれば日本は平和」という考え方と全く同根です。 
 いや憲法9条信者より更にタチ悪いですね。 
 「平和主義」という考え方は他国も建前上表向き無碍にすることは出来ませんが、「日本の核武装」なんて考え方が他国にそのまま受け入れられると思っているんですか? 
  
 こんなこと言っていると私が核武装反対と思われるかもしれませんが、兵藤二十八が昔書いていた 

「日本の核武装は敵国の核攻撃を躊躇させるためだけに目的を絞り、そのため核爆弾はあまり数を造らず運用は全て発見されにくい潜水艦のみで行う」 

とかの具体的な意見なら障害は多すぎですが検討の価値はあると思ってます。 
 しかし、ただ「欲しい」だけの意見なら有害で、一部で案のある「核武装戦略爆撃機の配置」なんてキチガイの戯言です。 

 で、現時点で私が日本の核武装に反対する一番の理由は「核武装さえすれば全て良くなる」なんて意見が主流の雰囲気で核武装を決定したら、「~すれば日本は良くなる」なんて他罰的な考え方が日本の政策を完全支配する訳でそんなことになったら日本はオシマイです。 
(今でもそうなっている、との意見もあるでしょうが、まだ私は大丈夫だと思ってます) 

 もし、あなたの周りに、 
「~が全て悪い。~すれば俺の仕事も上手くいく」 
とかばかり言っている人がいたら、あなたはその人を信用しますか? 
「他にもっと直すところがあるのに、こいつは人のせいにばかりしているバカ」 
と思うのでは無いでしょうか? 

 現時点で日本が核武装するというのは、そういうバカの言動のような感じで日本が動いてしまうということで、だからこそ私は「日本の核武装は亡国への道」と考えています。

田母神という単語はタブー [軍事]

 あまり語られることが無いですが、軍事知識や戦史の知識がある人間が田母神俊雄をどう思っているのでしょうか? 
 答えは非常に控えめに言って「キチガイ」です。 

 彼が登場した頃.2ch軍事板で、  

 752 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 19:39:37 ID:??? 

今回の事件の衝撃を他の組織で例えると・・・ 

・ユダヤ陰謀論にはまった日銀総裁 
・アポロの月面着陸はないと信じてるJAXA理事長 
・ダビンチ・コード読んでキリスト末裔が生きてるんじゃないかと不安になるローマ教皇。 

軍ヲタがネタに走って現実逃避する気持ちも分かるだろ?w 

という発言がありましたが今でも変わってません。 
 あまりにデンパ過ぎて相手をする気も失せます。  

 で、今や田母神センセの信奉者はそれなりに居ますが、軍事知識のある人に「田母神の言っていることを信じている」とか言うと、それだけで 

「あんな電波さんの言うことを信じているなんて、この人とはまともに話通じそうもない」 

と判断されます。 
 その発言をした人がどれほど明晰そうな方でも、そんな発言しただけで全ての発言の信頼性が地に落ちます。 
  
 まさに「田母神」の単語は議論におけるNGワードですね。 
 ここまで一部で禁忌の言葉になってしまったのも恐ろしいです。

 ただ、伝え聞く話では「カリスマはある」「自分の役目や立場をきちんと理解して会話が出来る」など、個人としてはかなり能力があるようなので、私も直接会ったら惹かれていたかもしれませんし、人気があるのも頷けはしますが。


院卒の多い米空軍 [軍事]


 前も取り上げたサイトから、アメリカ空軍構成人員の統計について。 
 色々と興味深い数字が乗ってますが、驚いたのは将校の学歴で、 

士官の43.9%が修士で、1.5%が博士号を取得している 

という数字。 
 将校の半分近くが大学院出ですか。 
 下士官も下士官は99.98%が高卒以上で、アメリカの他軍種より割合が高そうです。 
 もちろん、大学院出てから士官になる数よりも入隊後に大学院に入るほうが多いのでしょうけど、それにしても多いです。

 やはり技術専門職が多い軍隊だからこそ、ここまで学歴が高くなってしまうのでしょうか。 
 他国の空軍の状況も知りたいところです。

COIN機の復活? [軍事]


 アメリカでは米空軍のA-10やF-16が、必要以上の性能を持ち、かつ高価であることから、対象国が使いこなせないということから、プロペラ機を軽攻撃機として用いる試験がされています。 
 試験に用いられているのは、T-6B練習機をベースにしたHawker Beechcraft AT-6C。 
 基本武装はヘルファイヤミサイルとサイドワインダー空対空ミサイル。  

 開発自体も軍の研究機関ではなく民間を利用するなどかなり安く進めてはいるようです。 
 しかし、アメリカ軍本体では使うつもりが無いんですね。流石に。 

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