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インドの軍事力近代化 その歴史と展望 [軍事]

インドの軍事力近代化: その歴史と展望

インドの軍事力近代化: その歴史と展望

  • 作者: スティーブン・フィリップ コーエン
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2015/05/25
  • メディア: 単行本

 インド軍の歴史及び現状についての本で、現在、他に日本語の類書はありません。

 最初に言っておくと、この本は非常に読みにくくて理解もしずらいです。
 原著がそうだったのかもしれませんが、地図とか政府組織の編成図がほとんど掲載されてなくて、インドについての詳しい地理知識がない読者にとっては何が何やら。
 読むときには、ネットでインドの地図とかを検索しつつ、読んだほうが良いでしょう。
 
 さて、日本のミリオタの間では、インドの兵器開発期間である国防研究開発機構(DRDO)は、主力戦車アージュンの開発大遅延(ニコニコ大百科で、その迷走は詳しいです)とかで、そのダメダメっぷりがネタにされることが多いですが、この本でもDRDOへのdisっぷりが激しいです。

 「50年にも及ぶその歴史の中で、主要兵器をただの一つも各軍に供給できてない」

とまで書かれてます。
 開発できたのは、せいぜいサブシステム程度とのことで。
 
 DRDOの権限は、

「DRDO長官は国外調達に対して拒否権を発動できる地位にある。多くの場合、DRDOは現実性のない国産化を進めるものの、それが出来ず兵器を供給できないことが判明するまで海外調達が控えられる」

とか非常に強力ですが、こんな強力な権限持ってる兵器開発機関あっても、インドは世界有数の兵器輸入国だったりする訳で。
 インド軍の兵器調達関連は、DRDOに限らず、腐敗爆発しまくりで自浄能力も無いようです。


 あと読んでて、ぼそぼそと出てくる記述が、他国の軍隊との常識とかけ離れてる事例があって、「え?」と思ったり。

 例えば、21世紀に入って、インド陸軍は対テロ用にクシャトリヤ・ライフル部隊という対テロ部隊を既存編成の範囲内でパートタイム的に編成したら、機甲、砲兵、高射砲兵等も定期的に配属されてしまうので全軍が歩兵化してしまい、専門職の基幹人員が枯渇して大変なことになってる、という記述があって、どうすんだコレと感じたり。

 軍隊よりも人数と組織数が多い準軍事組織についての解説も多いです。
 けど、インドの殆どの州警察は大隊編成の武装集団保有してるけど、その装備は一部のテロが多い州以外は19世紀のリーエンフィールド小銃で、テロが多い州の装備が良い部隊も、弾薬がまともに補給されないのに、AK47装備のテロ組織と銃撃戦やらされてるとか、悲惨な事例も沢山書かれてます。
 それと、記載されているインドの準軍事組織も組織数が多すぎて、読んでて意味が判りません。

 全般的には、現代インド軍についての類書は他にないですが、ネットとかで関連情報を検索しながらでないと読みずらい本です。
 これ日本語に翻訳するだけでも非常に大変だったんじゃ?と思いますし。
 いや、インド軍の全般的状況や、断片的に語られてるエピソードとか興味深いものが沢山あって、非常に勿体ないとは思うのですが。


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