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ドイツ連邦駆逐戦車開発小史 DRK編 [軍事]

夏コミ3日目で購入した同人誌ドイツ連邦駆逐戦車開発小史 DRK編は、1970年代旧西ドイツが試作したDRK(双砲身ケースメイト戦車)ことVT-TANKについての本です。
 
 このDRKは固定式に二連装の戦車砲を装備するという極めて独特な形をしているため、これまでカノーネンヤークトパンツァーの後継的な駆逐戦車だと思ってましたが、西ドイツはDRKを駆逐戦車ではなくレオパルド2の次の「主力戦車」として開発してた事を、この本を読んで初めて知りました。
 正確にはアメリカから供与されたM47戦車の後継がレオパルド1、M48戦車の後継がレオパルド2、そしてレオパルド1の後継(レオパルド3)がこのDRKになる予定でした。

 「主力戦車」として使うには走行しながら敵戦車に射撃できる「行進間射撃能力」は必須で、DRKは固定砲方式でありながら次のようなメカニズムで行進間射撃能力を得ています。

1.敵戦車を発見
2.射手が回転式の照準機で敵戦車を捕捉。走行しながら車体の旋回を開始
3.照準機に捕捉されている敵戦車に砲身が向いた時点で自動的に砲撃。
 もちろん、砲身から砲弾が飛び出す間に発生する1000分の15秒の時間ずれ、車体が旋回している横向き加速度などのコンピュータ補正を加えて砲撃される。
4.照準精度及び二連装の戦車砲により確実に敵の重装甲戦車を破壊できる。
 また自動装填装置により毎分12~15発の砲撃が可能。

 この形式では砲塔式戦車より重量を軽くしつつも重装甲に作ることが出来、「重装甲と行進間射撃」を両立して実現するために生まれたコンセプトです。
 乗員は二連装主砲の間に前から射手、操縦手、車長の順に並んで収容されるか、もしくは横一列に並んで収容されることになりそうでした。

 で試験の結果、このメカニズムは1975年の西ドイツの技術で充分に実用化可能であると評価されました。
 プロジェクトがぽしゃった理由は戦車部隊の反発です。
 理由は、
「蛇行しつつ行動するのが前提では、隊形を組んで行進しつつ周りに各個砲撃を行うことや、森など狭い場所での集団戦闘が出来ない」
ということで。

 確かに戦車部隊が一列に並んで一本道を高速走行しつつ、砲塔を回して周囲に各個射撃を行いながら突撃という戦術は最近のイラク戦争でもよくあった光景で、有効性が証明されてますが、DRKでは間違ってもこの戦術は無理ですね。
 恐らくNATO軍の戦術が防御一辺倒ではなく、場合によっては積極的な攻撃も行うエアランドバトル戦術になりつつあったのも、理由の一つでしょう。

 ただ、この固定式二連装砲搭載戦車が「レオパルド3」になってしまった可能性が高かったのは非常にロマンです。
 最近色々と資料が出てきたようですが、このDRKのように冷戦時の西ドイツもかなり変な兵器開発をやっていたようですし。
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