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貨幣に見る中国の歴史 [歴史]

 初心者の為の古文銭は中国古代から隋に至るまでの中国貨幣についてのページです。 
 各時代の銭から当時の社会情勢も読めてきて面白いです。 

 例えば三国時代の幕開けとなった董卓の治世で鋳造した新貨幣「董卓五銖」があまりにも劣悪だったため貨幣価値が極端に下落。貨幣経済そのものが崩壊したことが更に乱世を呼んだ原因ですが、五銖銭(東漢末期)で実際の董卓五銖の写真を見ると確かに粗末でこれじゃ動乱起こるの当たり前と思ってしまったり。 
 貨幣経済の崩壊で魏や晋では実質的な通貨を絹や麻にせざるを得なくなり、その後の動乱もあって中国全土的にきちんとした貨幣が造られるのは隋の頃になってしまうほどの混乱を董卓五銖はもたらしています。 
 律令制度での税体系は租庸調で日本にも取り入れられましたが、これは隋以前の体制で税を貨幣化できなかった名残だったりします。 
  
 また三国時代の蜀は蜀漢五銖銭と直百五銖銭(五銖銭100枚分の価値)を鋳造し、自国のみならず魏や呉でも通用するほどの貨幣価値を持たせることに成功して、三国一の小国なのに魏とも正面対決できるほどの経済力を持ったのですが、こちらにある蜀漢の貨幣を見ると国力の衰えに従い貨幣が小さくなっていくのが切ないです。 

 あと、前漢(西漢)と後漢(東漢)の間に新という王朝があり、理想主義的な現実にそぐわない政治を行ったため短期間で滅んでしまうのですが、「新」時代の貨幣を見ると貨幣政策も無茶苦茶ですね。 
 平首布とか戦国時代の貨幣を大マジに復活させようとしていたとは経済も大混乱に陥るわけです。 

 その他色んな時代の中国の貨幣とその背景が紹介されていて面白いです。 
 宣統通寶銭画像は20世紀になってラストエンペラーの時代に鋳造された貨幣で、もし中国に帝国がまだ続いていたらこんな感じで貨幣も続いていたのかもしれません。 


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コメント 3

ななし

経済力から見た三國志というのはとても新鮮で面白く読めました。

教科書に載っている歴史や通史では主に政治上の対立が扱われ
こういう経済に関してはおろそかにしてしまいがちですが、重要な
要因だということに改めて気づかされました。

よく知っている三國志だけにかえって固定観念にとらわれていた
のにハッとした思いです。
by ななし (2010-05-25 02:00) 

$5

> 貨幣経済の崩壊で魏や晋では実質的な通貨を絹や麻にせざるを得なくなり、その後の動乱もあって中国全土的にきちんとした貨幣が造られるのは隋の頃になってしまうほどの混乱を董卓五銖はもたらしています。

朝鮮なんか19世紀まで布銭と銅銭を並行して使い続けていましたからな。
http://homepage3.nifty.com/~sirakawa/Coin/C025.htm

19世紀後半に日本が明治維新と富国強兵政策によって国力を急速に増大させたのに対し、李氏朝鮮最末期の軍備強化や工業化が極めて貧弱な物に終ったのも経済の基礎体力が日本のそれと比べて明らかに弱体で資本の蓄積や貨幣経済のレベルも雲泥の差であった事が大きかったかと。
by $5 (2010-05-29 10:34) 

江南

なにやら、不思議な気持ちで読みすすめました。貨幣っておかしなものですね。蜀漢で塩が取れたというのは聞いたことがありましたけれど・・・・なるほど。貨幣ですか。
by 江南 (2010-06-14 22:02) 

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