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送り込んだスパイに逆に滅ぼされた国家 [政治]

「ワレサ氏は秘密警察の元スパイ」告発本出版、論争呼ぶ

 記事はポーランドで「連帯」を率い、大統領にもなったレフ・ワレサが1970~76年まで「ボレク」というコードネームを持つ秘密警察の非公式協力者で、大統領時代に自らに関する秘密警察資料を取り寄せた際、資料を返却せず証拠隠滅を図った等が書かれた本が出版されたというものです。
 個人的にこのニュースはまず本当だと思います。

 「連帯」の事件が大々的に起こったのは1980年頃なので、そのときには既に関係は切れていたようですが、「連帯」の大元になったグダニスクの労働者グループに入る際にはスパイとして潜入したということなのでしょう。
 ただスパイとして潜入した筈のワレサは何かに目覚めてしまったらしく、最終的にポーランド共産主義政府を倒してしまうことになりますが。

 同じようなタイプとしてはドイツのヒトラーもそうですね。
 彼が泡沫政党「ドイツ国家社会主義労働者党」に入党した時はドイツ軍人としての身分を持ったまま入っており、ヒトラーの上官としては、
「怪しげな団体にとりあえず工作員を入れておく」
ぐらいの感覚だったようです。
 政治活動で何かに目覚めてしまったヒトラーが軍人を辞めて党活動に専念する際も、
「ベルサイユ条約で軍備が制限されているこのご時世に軍隊系翼賛政党があってもいい。情報部系列の元軍人が掌握しているからコントロールも効くし」
という感じで。
 ワレサの場合もポーランド秘密警察の立場では、最初は同じ感覚だったのでしょう。
 どちらも最終的には予想外すぎる結果になりましたが。

 しかし、

・怪しいと睨んだ弱小過激派集団に政府がスパイ1人送り込んだら、スパイが「覚醒」してその集団を率いて政府を滅ぼしてしまった。

って、
「それ何てラノベ?」
という感じです。
 しかもドイツ、ポーランドという大国でそれが起こってしまっているなんて。
 実はバレてないだけで他国にも似た事例はありそうです。


 哀しいのは、結局政府を滅ぼしてしまったスパイ側が「思想」を転向したわけではないことです。
 ヒトラーは「WW1終了時に背後からの一突きを行った左翼を許さない」「前線の一兵士の立場からの政治」を最初から最後まで追及しましたし、ワレサは既存の共産主義要綱の再編成を目指して大学などで研究を行っているなど、今でも立派な共産主義者です。
 実言うとワレサのやってきたことって自主組合を組織するなど「実に正当な左翼っぽいなあ」と思っていたので、今回スパイ報道で非常に納得しました。
 若いときから「真面目な共産主義者」だkらこそ「潜入任務」を与えられたのでしょう。

 潜入スパイになるにあたって、敵の思想に染まらないよう「思想が堅固」であることは一番の条件で、ヒトラーとワレサを選んだ人事担当者は良い目を持っていたと思います。
 しかし、その「思想堅固」な事こそが大問題を引き起こしてしまったのは皮肉。

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