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末期戦少女聞いてみた [軍事]

 そんなわけで昨日購入した末期戦少女の感想。

末期戦少女

末期戦少女

  • アーティスト: 清水香里, 小菅真美, 真田アサミ, やなせなつみ, 一ノ瀬めぐみ, 仙川しのぶ, 中村恵子, 長嶋陽香
  • 出版社/メーカー: セブンエイト
  • 発売日: 2008/01/24
  • メディア: CD

 これ「最貧属性」を持つミリタリーマニアにとっては「絶対買え!!」というレベルでしょう。

 一応シチュエーションとしては、昭和20年頃の沖縄や孤島玉砕戦、8月15日前後が元ネタで、各トラックはストーリー的に繋がってます。
 ネタは末期日本軍がメインですが、末期ナチスドイツとか督戦隊とかのソ連ネタも含まれています。
 普通の人はまず判らないと思いますけど、台詞のほとんどに史実の元ネタがありますから。
 史実&このCDの台詞を対比した元ネタ辞典的なモノ作るとしたら、かなり膨大になりそうです。
 とりあえずシナリオライターの人にはお会いしてみたいところではありますw

トラックごとの感想(ネタバレ入っているのでご注意を)

1.タザキ・ジュンコ海軍少将(第一艦隊司令)/小菅真美
 シチュエーションの元ネタが大和沖縄特攻。
 いきなり1トラック目からかっ飛ばしてます。

 「一介の水雷屋」「一億総玉砕の先駆け」とか戦史上どっかで聞いた台詞が沢山。
 「我らの前に勇士無く、我らの後に勇士無し」「勇者のごとく倒れるしかない」とかのパロディ台詞もありますしねえ。
 航空支援なしで丸裸のまま海峡への突入や「被害担当艦」とかもあるのでレイテ沖海戦とかも含まれてます。

2.イケベ・リョウコ陸軍中将(歩兵師団長)/一之瀬めぐみ
 構築した陣地から出て無茶な逆襲命令を強いられた師団長の台詞。
 メインネタは沖縄戦での反撃命令とかだと思いますが、他にも色々と入ってます。
 上層部に反抗して「信念だけでは火力に対抗できない」とか言ったり、戦闘経験の無い事務員と整備員とかまで地上戦力に数えたりしているのは、うわーと思ったり。
 いや、マジで史実で多発したことなんですけどね

3.サトウ・マコト陸軍軍曹(歩兵)/清水香里
 どうしようもない最前線で未熟兵ばかりの新兵たちを教育することになったベテラン軍曹のお話。
 歩兵連隊の生き残りが10人って……

4.テラダ・イツキ陸軍二等兵(歩兵)/真田アサミ
 真実を伝えない大本営発表&後方での「空気」に押されて志願した少年兵が前線の実情を体験してショックを受けるお話。
 主人公がどのくらい未熟かというと、小銃や手榴弾の扱いもまともに出来ないくらい。
 あと、ここで語られている「前線の実情」というのは、史実に日本軍では大マジで下手するとこれより酷かったりします。
 来たばかりの新兵に「敵戦車に吸着爆雷持って突っ込め」とかの台詞とかありますが、実際フィリピンとか沖縄で多発した事例でしたし。

5.ニシクジョウ・サキコ帝国陸軍中佐(陸軍省作戦課) /仙川しのぶ
 机上だけで無謀な作戦を立てて損害を多発させる参謀の人のお話。
 末期の大日本帝国やナチスドイツで沢山出てきた「電波な命令」を下す人たちまんま。
 直接的なモデルは8月15日前後に戦争継続のクーデターを起こした人たちですね

6.ナツキ・ヨウ帝国空軍飛曹長(防空戦隊)/中村恵子
 末期戦の生き残りエースのお話。
 色々とエースたちの言動がパロディにされていて、 たとえば

・練習機まで出撃させようとする上層部に、
「そんな攻撃に成算があるというのなら、ここにいらっしゃる方々がそれに乗って攻撃してみると良いでしょう。 私が戦闘機1機ですべて撃ち落として見せます

 思い切り芙蓉部隊の美濃部少佐の台詞ですね。
 この近辺の台詞も「彗星夜襲隊 特攻拒否の異色集団」に出てくる美濃部少佐の台詞のパロディばかり。

・「撃墜された回数もエース級」
 「片足が無くなりました」
 「自らを価値無しと思っている者こそが真に価値無き人間なのだ」

 ここらへんはルーデルネタ(参考)ですね。

・戦後には薬局やるとか、薬局の名前に乗っていた飛行機の名前つけるとか言っているのは、オットー・カリウス(Wiki)ですか、あんたは。
 
 他にも色々なネタが入っていて個人的には一番気に入りました。

7.ナカマル・カオリ国家保安省中佐(督戦隊)/やなせなつみ
 逃げる味方を後ろから撃って「督戦」する督戦隊の人のお話。
 実際には「督戦隊」というよりも「政治将校」というのが正しいかと。
 無理矢理部隊に死守命令を出したりとか、かなり無茶なことやってて正に「政治将校」。
 台詞とかがかなり淡々としているのも良い感じかと。
 やっていることは5トラック目の参謀と似ているのですが、「頭の良い人が冷静におかしい(しかもそれを自覚)」しているので、それとは一線を画しています。
 あと戦後の身の振り方にもウケました。

8.クボ・アキエ海軍主計少佐(臨編陸戦隊隊長)/長嶋陽香
 敵に侵攻された孤島でたまたま最上級だったので、防衛戦の指揮を執ることになった海軍主計少佐のお話。
 もう部隊は寄せ集めで、航空機の機銃取り外して分隊支援火器にしろとか、搭乗員及び整備員は手製で爆薬作ってそれが無くなったら最後の突撃しろとか正に「末期戦」な寄せ集め部隊な台詞が。

 一応、直接的なモデルは後に首相になった中曽根主計少佐あたりでしょうか。
 オチには「をい」と思いましたが、これも終戦直後にはよくあったことなんですよねえ。


 あと、このCD冬コミで先行発売されたようですが、マーケティング的に思い切り間違ってます。
 正直そんなことするくらいなら、音声サンプルをネットに上げていた方が効率的でした。
 MCあくしずやミリクラを抱えるイカロス出版にサンプル1枚送りつけるのでも良かったかと思います。
 ニッチ企画としては、かなり優れているのに宣伝ベクトルが違うのが残念です。
 私もつい最近まで知りませんでしたし。

 しかし、この出来なら次の戦勝少女も楽しみではあります。
 絶対に「脳天気」な出来にはなってないと思いますし。


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