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はやての行動及び戦闘機人計画等の意義 (なのはStrikerS第20話感想その3) [リリカルなのは]

 なのはStrikerS第20話のネタバレ感想3番目です。
 もはや「感想」ではなく、「現時点での妄想」と化してますが。


・はやての行動及び戦闘機人計画等の意義

 この第20話で八神はやて二等陸佐が行ったことは、

「スカリエッティ一味の再襲撃によって指揮系統が壊滅した首都近辺の地上本部残存部隊を、再編成を行って(本局次元航行部隊及び地上本部の許可は取付済)、突如現れた巨大戦艦「聖王のゆりかご」へ機動6課幹部の指揮の元で反撃開始」

というものであり、地球の軍隊的に直すと、

「敵に撃破された残存部隊を、付近の装甲部隊を機軸に再編成して戦闘団(カンプフグルッペ)を編制して反撃開始」

というもので別段珍しいものではなく、第二次大戦の独ソ戦でのドイツ軍側の戦史には腐るほど似たような例が出てくる。
 しかし、この第20話での八神はやて二等陸佐の反撃には、2つの大きな特徴がある。

 まず、地上本部部隊の指揮権を掌握するのに、あくまで形式的には、

「各部署への協力」

という形を取っていることだ。
 これは「本局系」「地上本部系」の指揮系列の違いの「建前」を利用したものであり、形式的には地上本部系部隊のメンツを立てているように見える。
 しかし、地上本部の指揮系統が崩壊していて何も判らない状態では、

「地上本部及び本局次元航行部隊から命令が出ましたので、貴部隊に協力いたします。こちらの情報を元に貴部隊はこのように動かれたほうがいいでしょう」

という「実質的な命令」に誰が逆らえるだろうか。
 また「命令」ではなく「協力」である以上、階級が上の指揮官であっても指揮下に置くことが可能であり、何か問題が起こっても「協力」であるため、八神はやて二等陸佐が責任を取ることは無い。
 恐るべき組織内遊泳術といえるだろう。

 2つ目は、その再編成スピードの速さだ。
 映像中では1時間もたたないうちに再編制を終えて反撃に移っていると思われるが、これは地上本部残存部隊が敗残兵であることを考慮すれば恐るべき速さだ。
 これは、

「八神はやて及びそのスタッフの有能さ」
「巡航艦アースラ搭載の指揮管制システムの補助」

なども理由に挙げられるだろうが、一番の理由は地上本部と本局の「文化の違い」ではないだろうか。
 つまり、

「編成とかが細かくて融通が利かない地上本部」
「現地で魔道師を傭兵として臨時雇用し、臨時戦闘団を作ってスピード勝負の戦闘をすることも珍しくない本局次元航行部隊」

の違いだ。
 地球の史実で言うと、
「完全に年功序列だけで出世序列が決まっている本国軍」
「現地昇進ありで現地人傭兵なども使いこなす植民地軍」
に分かれていたナポレオン戦争前後の頃のイギリス軍に近いと思われる。
 いざ戦争となると、完全に実力で出世した植民地軍出身の将校が、序列が上なだけで無能な本国軍の将軍たちを差し置いて、実質的指揮を執るのも同じだ。
 そもそも、八神はやて本人を含め機動6課幹部のほとんどは、地球で現地採用された元傭兵でもある。

 しかし、当時のイギリス本国軍の将校は無能であることが多かったが、それは昇進に売官制度とコネがまかり通って、「能力」による昇進判断がほとんどされなかったためでもあり、同じく「コネ」がまかり通っている時空管理局でも同じ傾向がある可能性が高い。
 本局系部隊でのコネ昇進は、八神はやて一派のような外部世界の優秀な人材を取り入れて、組織を活性化させる場合もあるが、その世界に閉じこもりがちな地上本部系の部隊でのコネ昇進は、かなりの問題が起こるのは確実である。
 一応は「魔力」という絶対的比較数値がある魔道師系人事と違い、魔力を持たない人材の採用では不正などがまかり通りやすいだろう。
 そもそも、いくら有能とはいえ、19歳の小娘(八神はやて)にあっけなく指揮権を掌握されてしまうのも、地上本部部隊幹部たちの問題点をまざまざと表している。

 今回の事件の根本的原因は、最高評議会及びレジアス・ゲイズ中将がレリック・ウェポンや戦闘機人の開発を密かにドクター・スカリエッティに依頼したことにあるが、地上本部部隊の現状がコネ昇進などでかなり問題があるならば、非人道的であってもその開発を進めたのは納得できる。
 レリック・ウェポンや戦闘機人は、

「製造に大規模施設を必要とする工業製品で、メンテナンスも専門設備が必要」

である以上、地上本部直轄で人事を行うことが出来、更に彼らを幹部に登用することによって、各部隊の裁量で行われている腐敗したコネ昇進などを、かなり防止することが出来るのだ。
 正直、レリック・ウェポンや戦闘機人の導入については、単なる戦力アップよりも人事問題の改善点の方が極めて大きく、最高評議会及びレジアス・ゲイズ中将はこれによって「腐敗した組織の改善」を行うのが主目的であった可能性が高い。
(組織全体が腐敗している以上、あくまで表向きは「戦力強化」とする必要があるが)

 このような計画を、人道的な問題を棚上げにして推進しなければならなかったこと自体、現在の時空管理局が抱える問題の深さが垣間見える。


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月読

MURAJI様が管理局側の行動について考察しておられますので、こちらはスカリエッティ側の行動を考察してみたいと思います。
(なお、現時点における情報を基にしたものですので、多大なる間違いがあるかもしれませんが、その点はご容赦の程を)

「聖王のゆりかご」事件における、スカリエッティ側の作戦目的は、聖王のゆりかごを衛星軌道上に浮上させることにより、1.主砲を発射可能状態にする 2.主砲の圧倒的な破壊力をしてミッド全域を人質にとる 3.それにより次元航行艦隊主力部隊との決戦を有利に推し進め、艦隊主力を撃滅する、に纏められると思う。

ここで一番問題となるのは、聖王のゆりかごが、艦隊主力に補足される前に、衛星軌道上にある作戦ポイントまで占位しなければならないことである。(それ以前に問題なのは、聖王のゆりかごの機動キーであるヴィヴィオが、彼等の思惑通りに動くのか? なのだが、スカリエッティ側はあまり心配はしていないようである)

その為、スカリエッティ側は、ミッド守護の要とも言うべきアインヘリアルをナンバーズのほぼ全力をもって攻略。これにより地上本部は、聖王のゆりかごを迎撃できる最後の手段を失ったばかりか、アインヘリアル守護についていた精鋭部隊の過半にも大ダメージを負ってしまう。

更にナンバーズNo2であるドゥーエによって、最高評議会のメンバーへの暗殺を敢行。これにより、地上本局の最高実力者たるレジアス中将がほぼ政治生命を絶たれていたこともあいまって、地上本局の命令系統は完全に崩壊してしまうことになる。
なお、暗殺時の状況を見ると、ドゥーエはいつでも暗殺することが可能であったように見えるが、何故、左記の地上本部襲撃時ではなく、この時期に暗殺させたかとしては、聖王のゆりかご機動までにいま少し時が必要であり、下手に暗殺してしまえば、実力者を全て失った地上本局が管理局の指揮下に統率される可能性が高く、ゆりかご機動前に強襲される可能性が高いため、地上本局(スカリエッティ)の後ろ盾である評議会の力が必要であったと推測される。

そしてもう1つの邪魔者である機動六課については、ナンバーズの攻撃戦力の半数・ルーテシアグループ・捕獲したギンガ・大量のガジェット群による戦力でミッドへの直接侵攻をかけることにより、機動六課戦力の分断・拘束を図っている。

ただ、この戦力配備を見る限り、スカリエッティ側もかなり無理をしているように思える。
本来、陽動戦力に求められる条件としては「敵に無視できない脅威を与える存在」であり、「こちらが失っても惜しくはない存在」が挙げられる。
こうしてみた場合、捕獲戦力であるギンガや大量生産が可能なガジェット群、聖王のゆりかごが起動したことにより、提携価値が減少したルーテシアグループは、その条件を満たしているように見える。

しかしながら、ギンガにしろルーテシアグループにしろ、スカリエッティに対する忠誠という点においては、ナンバーズ程の信頼を置くことができず、最悪彼等を裏切る可能性もある。
そうなってしまった場合、機動六課戦力の分断どころか増強に繋がってしまい、スカリエッティの作戦に重大なる影響を与えてしまう(何しろ艦隊主力に対する時間的アドバンテージはそれほどない)
ナンバーズの攻撃戦力の過半を投入したのは、最悪の事態に陥った場合でも、なんとか敵戦力拘束を図るための最低限の戦力と判断したのではないだろうか。(ウーノの本音としては、4人も投入したくはなかったではあろうが、少数精鋭で戦えるトーレとセッテはまず本軍守護を果たさなければならず、ルーテシアとの関係が深いクアットロもヴィヴィオに付きっ切りでいないといけないためこれも出撃不能。セインとディエチも以下同文。頼りになるチンクも未だ負傷中。と、なると残り四名なのだが、錬度不足と前回の作戦行動の不手際を見るに、下手に小出しにしても各個撃破の可能性が高い)

しかし、こうしてみると、実質指揮をとっているウーノは、山本五十六ではありませんが「桶狭間と鵯越と川中島を同時にやる」心境ではないかと。
実際、戦力として除外されたと思っていたであろう地上部隊が、はやてによって戦力として再編成され、しかもはやての一元指揮の下に行動するなんて絶対予想できなかったでしょうし
by 月読 (2007-08-16 20:14) 

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