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人力車の研究 [購入物全般]

人力車の研究

人力車の研究

  • 作者: 齊藤 俊彦
  • 出版社/メーカー: 三樹書房
  • 発売日: 2014/06
  • メディア: 単行本

 大本は1979年の「人力車」を復刻した本です。
 フォントとかも当時のままなので一見古臭い本に見えますが、内容は非常に濃くて面白いです。

 この本は人力車についての全般的な説明本で、当時の関係者の回想や周辺記録を多数収録してて、人力車のみならず明治や戦前の様々なエピソードが書かれてて、興味深いです。
 例えば、

・維新前の東京(江戸)での各種荷車などの車両の生産は年間500両
(職人数に比例して、かなり少ないです)
・戦前に大八車を作るには、熟練職人1人が1週間かけて1台
(大八車の値段は結構高かったという話があり、リヤカーの普及理由の一つは安価だったというのが納得しました)
・西南戦争の時、政府軍の後方補給基地だった福岡では、各種車輛の生産は1日100両オーバー
(これだけで西郷軍の勝利はないと思えてきます)
・大工場での人力車の製造工程表見ると、当時の人力車の材料で、国内産なのは木材が多く、鉄材は英国等から購入したのを国内で加工してバネや車軸に加工。内装の革は英領インドから、飾りつけやゴム幌は英独からと様々な部品を組み合わせて製造して、その管理も大変で、更に完成品を大量に海外に輸出してるなど、今の自動車産業の原形とか、これなんだなと思えてきます

とか他にも色々で、戦前の他の歴史ジャンルに関して、何らかの知識がある人だと
「え?ここにこう書かれているという事は、自分の知っているあの事例とこう繋がっているのか!」
という歴史を調べてると興奮できる「歴史事例の繋がりへの気づき」というのが、まず確実にあると思われるので非常にお薦めです。
 普通の人相手にはお薦めできませんが、何らかのジャンルの歴史マニアなら読んでて楽しいかと思います。


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