大学警察に装甲車 [軍事]
こちらの記事は米軍がIEDに対抗するために、各軍が無秩序に緊急発注、配備しまくったMRAP(耐地雷・伏撃防護車両)を、イラクやアフガン派兵が縮小したのと、緊急展開にも便利な規格化された新型配備のため、一万三千両を無料で払い下げする、という記事です。
米国内の治安組織にも早速払い下げられてるようですが、払い下げを受けた機関に「オハイオ州立大学のキャンパスポリス」という記述が。
これ読んで、アメリカの大学は大学独自の警察が装甲車を保有しなければならない程、危険なのか? オハイオ州立大学は修羅の世界なのか? とか思ってしまったり。
アメリカの警察組織は複雑怪奇というかバラバラで名が実を表しているとは限らないですし、1960年代の学生運動等のデモが盛んな時期に導入されてたモノの更新という可能性もありますが、それでも大学警察に装甲車というのは、日本の常識から考えると衝撃的です。
まあ、コロンバイン高校銃撃事件もオハイオ州だし、2010年にはオハイオ州立大学そのものでも銃撃事件が起こっているので、アメリカ的には当然かもしれませんが、それでもやはり違和感が。
絶対に戦場になる土地なので [軍事]
【東京特派員】米軍が関ヶ原で戦う
在日米軍が関ヶ原の戦いを検証している、という記事。
以前、ニコニコの在日米陸軍チャンネルにも関ヶ原現地研修動画がアップされてます。
でも日本という土地で戦争やるなら、関ヶ原近辺は絶対に戦場になる肝要地点なので、日本で戦う在日米軍が研究するのは当たり前かと。
1600年の他にも、壬申の乱や南北朝でも決戦が行われてますし。
「F-22ラプターへの道」連載終了 [軍事]
この連載は第二次大戦後期からの電子戦から、現在のF-22の開発に至るまでの長い連載で、非常に面白く読ませてもらいました。
以下にベトナム戦争までのアメリカ戦闘機開発がダメダメだったとか、ステルス技術の基礎。そして日本語ではこれぐらいしかまとまった資料の無いジョン・ボイドについての熱い語り。
戦闘機開発についての文章なはずなのに、フランス1940電撃戦や湾岸戦争の地上戦解説、そして「全てのあらゆる組織は時を重ねるごとに必ず機能不全に陥る」ことを証明できる理論の話になってしまったりも。
長い連載ですが読むだけの価値は絶対にあります。
とりあえず連載終了おめでとうございます。
PANKOの起源 [軍事]
米国の業界の言い伝えによると、第2次大戦中、日本軍の兵士は煙を出して敵に見つかることのないように、戦車のバッテリーから 取った電気で料理をしているうちに、上等なブレッドクラム用の耳なしパンを作る方法を発見したという。ロサンゼルスのパンメーカー、アッパー・クラスト・ エンタープライジズの最高財務責任者(CFO)エド・シェリー氏は「この話はその通りだと思う」と話した。
アメリカ人がそう思い込んでても、日本人にとっては「え?」という感じの記述です。
そもそも、パン粉はトンカツとかの料理と共に生まれた筈なので、実際の起源は戦前な筈。
あと深刻な食糧難だった第二次大戦の日本軍にそんな事出来るイメージが浮かびません。
ただ戦後の一時期に普及した電気パンの事を考えると、それがアメリカに変な風に伝わってしまったのかもしれません。
電気パン製造機が日本陸軍の戦車隊に配備されて、バッテリーで使っていたという話もあるようで、この電気パン製造法そのものが日本陸軍の発明であるという説も。
でも、まあアメリカでの言い伝えのように、戦場で産み出されたという話にしといた方がロマンはありますよねw
そりゃ、シリア反政府側の勝利の可能性低いし [軍事]
この前のクサイルの掌握でヨルダン経由の反政府側の援助ルートは断ち切られて、更にジリ貧です。
もはや反政府側が迅速な大逆転勝利をするには、最低限
「アメリカかイスラエルの空軍全力投入でシリアの制空権掌握」
くらいしか思いつきません。
ヘタするとそれでも足りないかも。
今やシリア政府軍は「市街戦での戦車戦術」では世界最強レベルですから、出来ればアメリカかイスラエルの大規模機甲部隊も欲しいところです。
シリア軍機甲部隊の市街戦戦術は、市街戦型の槍機戦術、実戦デビューや市街戦型槍機戦術第2段階:面制圧とかで紹介されてますが、「え?何このレベル?」という感じに発展してます。
シリア政府軍は「現在、最先端の機甲戦術を使って戦っている」と言ってもいいでしょう。
重車両も制空権も無いシリア反政府軍がどう対抗すればいいのやら。
しかし、ここまで「戦争」がYouTubeとかで簡単に見られて検証できる戦争も凄いです>シリア内戦
あとシリア政府側が化学兵器使用したとかいう話ありましたけど、この前の一部報道でもあったように反政府側には化学兵器使用の疑いがあって、しかも使用する動機は軍事的に追い詰められている反政府側の方が強いですよね。
M3から八九式中戦車に装備更新 [軍事]
山猫文庫第3版の鋼棺戦史(第3部 悲島戦線・第3章・その3) は、フィリピン戦末期の独立戦車第8中隊の戦記です。
この部隊はフィリピンで現地編成された戦車部隊で、日本製の戦車が届くまで鹵獲兵器のM3軽戦車を装備して、後に八九式中戦車甲型に装備転換してます。
捕獲されて日本軍で使用されたM3軽戦車は「大戦中における日本軍最強の戦車」とまで評されている戦車ですが、そんな戦車から、日本で開発された最初の戦車な八九式中戦車甲型に装備転換なんて、搭乗員達の落胆が目に浮かぶようです。
11両配備された八九式中戦車甲型も空襲やエンジントラブルで敵と遭う前に喪失して、結局アメリカ軍のM4シャーマンとやりあったのは生き残りの1両だけ。
幸運にもM4シャーマンを一台行動不能にしたけど、機銃弾被弾で砲が動かなくなった最後の一台の八九式中戦車甲型をダイナマイトで爆破処分して、後は歩兵として終戦を迎えてます。
食料にもあんまり不自由する事は少なかったらしく、末期フィリピン戦線では幸運な戦歴の部隊ですが、それでも、この装備転換だけで不憫すぎです。
取材を作品に生かすということ [軍事]
シュヴァルツェスマーケン 4 許されざる契りのために (ファミ通文庫)
- 作者: 吉宗鋼紀
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2012/10/29
- メディア: 文庫
この前買って読みました。
4巻でもかなり盛り上がってて面白くて、売れ行きランキングが良いのも納得。
しかしこの巻の舞台は、ベルリン前面のゼーロウ要塞地帯。
5年前に内田さんと一緒にゼーロウ高地に行って道に迷ったこととかが思い起こされます。
ベルリン戦を描いた戦史本で、ベルリンとの物理感覚的な近さなど、ここまで地に足が着いたゼーロウ高地描写も珍しいです。
しかし5年前の取材を今になって作品に生かす事が出来た訳ですが、作家とかの取材とかはそんな事が多いです。
良くマスコミの取材を受けたのに記事に反映してもらえないとか、作家に資料を送りつけたのに作品に生かしてくれないとか怒る人がいますが、作家や文章を商
業的にまとめる場合は、字数制限とかがあって文章量を絞る方にも才能が要求されるので、怒る方もおかしいと思ってます。
司馬遼太郎は自分の作品を書く際に大量の資料を集めてた事で有名ですが、作品に全部は生かすことはとても出来なかった訳で。
そんな訳で、自分の昔の取材を正面から作品に生かすことが出来て、内田さんおめでとうございます。
自分の取材をストレートに自分の文章に生かせない事例の方が圧倒的に多いですから。
あと、この作品ではベルリン防衛の為に東ドイツ保有の戦術機のほぼ全てが集中されてますが、実際の1945ベルリン戦の時期に、ドイツの主力戦車部隊はヒ
トラーの命令でハンガリーの泥沼に投入されて消滅してる事を考えると、ベルリン防衛にドイツ主力部隊が展開しているなんて、正に夢物語。
「当時、ベルリン前面にドイツの主力戦車部隊が展開してても、あまり変わらなかったのでは?」という意見もありますけど、やはり夢として妄想してみたいネタではありますから。
核爆発したジーニの真下の5人 [軍事]
Five men at atomic ground zero
アメリカには空対空核ロケット弾ジーニが実戦配備されてましたが、1957年にジーニが上空10,000フィートで爆発した時に、その真下に居た5人のアメリカ空軍軍人さん達です。
映像では、もろに彼らに爆風が来ています。
あと空中核爆発が起こると、こんな感じの雲が発生するのですね。
アンサル・ディーン [軍事]
ウオッゼ島 篭城六百日 [軍事]
ウオッゼ島籠城六百日―孤島で生き抜いた将兵たちの記録 (光人社NF文庫)
- 作者: 土屋 太郎
- 出版社/メーカー: 潮書房光人社
- 発売日: 2012/05/31
- メディア: 文庫
光人社NF文庫で復刻されたのをゲット。
大戦中に孤立状態になって飢餓地獄に陥ったウオッゼ島で大隊長やってた人物が残した記録をその息子がまとめたもので、淡々とした短い記録の連続で、一つの記事が1~2ページ程度です。
ただ、その1~2ページづつの記録が飢餓地獄に陥ったウオッゼ島の地獄で起こった沢山の悲惨な出来事を多数描いてます。
「朝鮮人労働者が何人か米軍舟艇の方に逃げ出したので、逃げる後ろから撃って射殺したが3人逃した」
「飢餓に陥ると日本人は誰も信じられなくなっておのおの孤立し人間関係は壊れて雰囲気も最悪になり、数人ごとにまとまっていた朝鮮人労働者の方が生存率が高くなった」
「ちょっとした事で上官殺人事件とか逃亡とか頻発」
「一人だけ脚気が急に治ったので調べてみたら、糧食盗んで食べてた」
とか暗くなる記事ばかり。
「行間を読む」というか「他の記事を参考にして実際には何が起こったか?」とかを考慮して読むと更に暗澹な実態がなんとなく判ってきて、
「人肉食を行った将兵を逮捕したが、どういう罪に問えばいいのか判らず、拘留してたら数日後に栄養失調死」
という記事なんか、他の
「拘留された犯罪者はろくに食料を与えられず拘留中か釈放直後に大抵死亡。重大犯人は脱走が多いためロープ等で椰子の木にがんじがらめに縛り付けられ、恨みを持つものが棍棒で殴打することもあり」
「恨みを買いまくってる犯罪者は、ヤシの木に縛り付けられている時に恨みを抱いている者たちに殴打されまくって、正式な銃殺刑の前に死亡することもあり」
なんて記述からして、「真実」はどのようなものだったかが想像できます。
読めば読むほど暗澹になってくる本ではありますが、大戦中の孤立した飢餓の島の実態や極限状態の人間とかが良く書かれている本かと。
しかし、著者の人は元は空母飛龍乗組の機関士官で真珠湾にも参加しているのですが、当時は「どうしてこうなった!」という気分だったでしょうね。