何故、日本では「借金は返すもの」という共通認識なのか? [購入物全般]
徳政令 なぜ借金は返さなければならないのか (講談社現代新書)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/08/22
- メディア: Kindle版
この本の内容は、副題「なぜ借金は返さなければならないのか」がメインです。
今の大抵の日本人は「借金は返すもの」という共通認識が当たり前ですが、現代社会においても、それが当たり前でない国家や地域が結構あるというのも、発展途上国や失敗国家の状況とか深く調べると判ってきます。
何故、日本でそんな認識が産まれたのか?というのを、室町時代に濫発された借金取り消しの「徳政令」の流れで解説しています。
今の大抵の日本人は「借金は返すもの」という共通認識が当たり前ですが、現代社会においても、それが当たり前でない国家や地域が結構あるというのも、発展途上国や失敗国家の状況とか深く調べると判ってきます。
何故、日本でそんな認識が産まれたのか?というのを、室町時代に濫発された借金取り消しの「徳政令」の流れで解説しています。
簡単に、この本の主張をまとめると、徳政令とは元々は民衆レベルでの借金取り消し運動だったが、回を重ねる事に室町幕府が財政の為に手数料取るようになって、幕府官僚とアクセスしやすい上層階級の資産集積に用いられるようになり、応仁の乱以降は武士による民間からの略奪の正当化に用いられるようになって、頻発する幕府内の内乱で恩賞替わりに徳政令乱発。その多数の徳政令による棒引きを防ぐために、簡単な借金や定例的な寺社への寄付でも何通も複雑な借用状を書くようになり、みんな飽き飽きしたから、日本人は借金は返すものという認識が定着した、というものです。
もう、この本で取り上げられる室町時代後半の借金の事例が複雑すぎて、嫌になってきます。
あと普段どんなに親しい関係であっても「借金の棒引きが可能」という状況ならば、伝来の良好な関係ぶち壊してでも、お金の決着をつけてしまったという事例も多く紹介されていて、徳政令は社会そのものの信頼性をギズギス落としまくったのが判ります。
もう、この本で取り上げられる室町時代後半の借金の事例が複雑すぎて、嫌になってきます。
あと普段どんなに親しい関係であっても「借金の棒引きが可能」という状況ならば、伝来の良好な関係ぶち壊してでも、お金の決着をつけてしまったという事例も多く紹介されていて、徳政令は社会そのものの信頼性をギズギス落としまくったのが判ります。
発展途上国や崩壊国家の特徴の一つとして「手軽な借金が、制度的にも社会慣習的にもコネが無いと大変に難しい」というのがありますが、まさしく徳政令濫発時代の日本は、その状況になっています。
妄想ですが、日本で借金の連帯保証人の責任が世界的に厳しいのも、ここら辺に原因ありそうです。
妄想ですが、日本で借金の連帯保証人の責任が世界的に厳しいのも、ここら辺に原因ありそうです。
「徳政令濫発で社会的及び経済不安を引き起こし、権威喪って滅びる室町幕府」という見方も斬新で、世界の他の国家の経済状況と比較したりで、経済学的にも話が色々と発展できそうです。