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霊烏路空の原子炉工学 [東方]

 東方系同人誌はその数の多さ故に妙な同人誌も多いですが、私が冬コミ2日目にゲットした霊烏路空の原子炉工学(東方科学協会)もその一つです。 
 東方地霊殿のラスボス等として登場する霊烏路空(れいうじ うつほ)は、外の世界では未だ幻想な「核融合」を扱うキャラですが、彼女の能力を原子炉工学的に考察したテキスト系同人誌です。 

 この本がおかしいのは、まずその構成で約100ページのうち、前半70ページが核分裂炉や核融合炉についての数式も交えた原子炉工学解説。後半30ページが原子炉工学に基づいた霊烏路空の能力等についての考察になります。 
 前半70ページの原子炉解説は数式とかもやたら多い本格的な原子炉工学についてのガチな解説で(著者によればそれでもかなり省略しているとのこと)、著者が自然科学になじみがない方には非常に理解が厳しい内容になってしまったとまで書いている本です。 
 正直、私もあんまり内容が理解出来てないです。 

 ただ、72ページからの「第3章:霊烏路空の能力考察」は圧巻で、それまで解説してきた原子炉工学に基づき、霊烏路空の本当の能力について考察していて、 

・霊烏路空の能力は本当に「核融合」なのか? 
 またスペルカード等の描写から推定できる彼女の能力は原子炉工学的には一体何なのか? 
・霊烏路空は「八咫烏」の力を守矢神社の二柱の神にインストールされたことにより、核融合の力を入手したとされているが、具体的にどのようなパワーアップがされたのか? 
・東方緋想天則で出てきた河童たちが運営する守矢神社の核融合研究施設は、実際には原子力についての何を研究しているのか? 
・守矢神社がお空の力を使い、実現を叫んでいる「核融合の力による幻想郷のエネルギー革命」の真の姿は? 

とかの内容を大真面目に語っていて面白いです。 
 決して、ツッコミを入れて否定するのではなく、建設的に物事の設定を考察しているのが素晴らしいです。 
  
 以前、東方オスプレイとかで実際の政治や兵器とかを当てはめて無理矢理な解説を行っていた私にとって、昔の血が騒ぐというか燃える構成です。 


 しかも、著者はこの本だけでは霊烏路空と原子力工学とかについては語り足りないらしく、お空の能力の「粒子加速の原理」とか「プラズマ発生に伴う磁場の形成方法」についても続刊で解析していくとか。 
 一体、どこまでの高みに登るつもりなのでしょう。


 この同人誌の個人的には評価は、「料理の素材は良いけど、調理方法がマズ過ぎ」 
 せっかく原子炉工学方面から面白い東方の考察を行っているのに、長すぎる技術解説で台無しになっています。 
 考察の30ページをメインにして、必要なところにその都度コラム的に技術的解説を入れるという構成にするだけで、随分と読み易くなるのに勿体無いです。 
 あと著者の人は技術的解説が書ききれないとかこぼしているけど、もっと必要最小限に絞るべき。 
 あと数式は全部無くすべきでしょう。見た限りネタ解説に絶対必要な数式はない感じがしましたし。、 
 まあ文章とか見る限り著者の方は非常に楽しんで、この同人誌を書いておられる感触がありますので、余計なお世話かもしれませんが。 

 そのため、普通の方がこの同人誌を読むのであれば、72ページからの第3章:霊烏路空の能力考察だけを読んで、技術的な補足としてそれより前のページを読むのが、理解しやすいかと。 

 ちなみに今後のシリーズとしては、 
「現代物理学で見る素粒子粒子」 
「生物繊維学で見る黒谷ヤマメ」 
「量子力学で見る儚月抄」 
「東方キャラの衣類に見る幻想郷の染色化学」 
とかを予定しているそうなので、私のようなタイプの人間には胸が熱くなるラインナップです。 


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コメント 2

die

コミケお疲れさまでした。
自分の本一つにここまで詳しい感想を書いて頂けるとは感謝感激です。
色々と嬉しいやら恥ずかしいやらですが、楽しんで頂けたようで幸いです。
…実は本の構成については、自分でも思う所は多いのですが…。
今回の本は、当初の想定では全て合わせて60ページ程度を予想していたので、ここまでになるとは思っていなかった、というのがありまして。
と言っても前半の部分も書きたかったのも、また事実であり…。
まだ、文章系同人誌を書き始めて半年ほどしか経っていないため、自分でもまだ書き方を模索している最中なので、これからは読みやすさという点も十二分に考慮して行くので、それでご勘弁を。

最後に、本をお買い上げいただきありがとうございました。
今年も似たような本をどしどし書いて行くので、よろしければ見てやってください。
それでは。


by die (2011-01-03 10:58) 

MURAJI

dieさま
 コメントどうもありがとうございます。
 難点はありますが、感想を書きたくなるような熱い同人誌であったことは確かです。
 これからも新作期待しております。
by MURAJI (2011-01-09 00:45) 

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